夏が終わり風が涼しくなり始めた。
夏の間に、グンと下がった食欲は少しづつ回復を始め。俺と一平くんは代車の軽四自動車を走らせ、2匹で高知県へ。
用事を済ませた俺達は、また車に乗り込み、次は愛媛県へと向かう。
愛媛県から高知県までの運転者は俺。
高知県から愛媛県までは一平くん。
なので現在の運転者は一平くん。
俺達はその道中、星になりかける。
第一章 ノロマな世界
高知県での用事を済ませ、愛媛へと帰る俺達。
高知県から愛媛県まで、およそ120〜150分。
俺達のその足は少し急いでいた。その晩、バンドの練習が控えていた為である。
運転手の一平くんは、HONDA製の軽四自動車を生意気な速度で走らせる。車内には高鳴るエンジン音が響く、左側の車窓からは俺達に抜かれていくノロマ共が前方から後方へと消えてゆく。
マルデ止マッテ見エルゼベイベ。
俺達は順調に高知県から
愛媛県の県境を超えた。
第二章 失速
そろそろ目的地、松山も近づいて来た。
俺達は話をしたり、コーヒーを飲んだり。
なんの問題もなく走行を続けていた。
トンネルを2つ抜ければ、いよいよ松山
━━━━━その時。
一平くん「あれ!あれーっ!!」
彼の声が静寂を破る。
俺「ん?」
一平くん「嘘やろ!ガソリンがない!」
嘘であって欲しかった。
何度も何度もアクセルを踏む一平くん。
無情にも俺達を乗せた車は失速を始める。
俺「ハザード点けよう!」
一平くんはハザードランプを点滅🔺
そして惰性で走る軽四自動車を左車線に寄せる。
最悪だ……。
車が停止してしまったのがトンネルの中央辺りであった。
俺は怖かった。
自分達がオカマを掘られることもそうだが、何よりも加害者になることを恐れた。
俺達のせいで誰かが怪我をするんじゃないだろうか。一刻も早く後続車に知らさなければ!
第三章 口角
俺達の車は完全停止。
先程、俺達に追い越されていったであろうノロマ共が嘲る様に俺達を抜かして行く。
いや、今はそんな事を言っている場合じゃない!後続車に知らせなくては!誰一人怪我人を出しちゃいけない!
俺は神に祈る様な気持ちで車外へ……
しかし、ここで近日のニュースが脳裏をかすめる。
そのニュースの内容は、高速道路で接触事故を起こした人型が後続車に知らせようと、車道に飛び出し手を振っていたところ、走行する後続車に跳ねられ命を落とすというものだった。
知らせたい。後続車に知らせたい。
でも、俺が車道に出るのはあのニュースの二の前……どうしたものか。。
俺はひとまず車から降りる。
※)ここが意外と高い。
子供や年配の方なら登るのに、かなり苦労すると思われる。どうにかならないものか。
話を戻そう。
トンネル脇の通路に上がった俺。
そういえば、一平くん!!
俺は運転席に居た、彼を思い出し、
通路から運転席を覗き込む
「とりあえず、上がろう!電話しよう!」
と、声をかける。
その時、彼は
「う、うん。」
とノロノロとシートベルトを外し始めた。
その時の彼の横顔…
……口角…上がってるやん…
ちょっとワクワクが抑え切れずに…
笑ってもうてるやん……。
彼は自動販売機で飲み物を買うみたいな顔で
下車。
その顔にはトラブル渦中のワクワク感が溢れている。。
…彼も俺の居た通路へと上がってきた。
第四章 おまわり
俺達はトンネル脇の通路を使い。非常電話まで歩く。なんとその時、高速道路の警備の車が俺達と俺達の車を発見。
すぐに回転灯を回し、俺達の軽四自動車の後ろに停車。
警備員のオジサンが降りて来て、すぐさま赤く光った棒を大きく振り、後続車達に右車線に移る様に促す。
━━━━良かった。ひとまず安心だ。
俺達は、ゆっくりと自分達の乗ってきた、今は停車している車の所まで歩き始めた。
時間にして数分。
俺達は警備員のオジサンの仲間が応援にくるのを待っていた。
するとパトカーが1台……ん?パトカー?
オジサンの仲間ってオマワリなん?
パトカーから降りてきたオマワリは、
運転手が一平くんと何故すぐ分かったのか?
明らかに、俺ではなく一平くんの方に向かって。
「車をトンネルの外まで引っ張る!乗れ!」
と、すんげー命令口調。
そのオマワリは終始、命令口調で一平くんは結局減点。しかも1ℓ1500円という暴利なガソリン代を取られ、この事件は終了。
まぁ、怪我人がなくて良かった…やれやれ。
第五章 反省会
そんな事件も無事?解決して、俺達は松山へ帰ってきた。2匹で軽四自動車のガソリンタンクの容量の話や、代車だから勝手が分からなかったとか、暴利なガソリン代の話。そしてクソ生意気だったオマワリの話で盛り上がった。
そして気になる事がひとつ。
俺は一平くんに
「でもね、あのトンネルの通路の高さって
子供やお年寄りなら無理だよね。」
と、珍しく真面目な話。
彼の答えは
「うーん。それもそうだな。。
君、いいね(σ゚∀゚)σ」
とのことだった。。。
俺は無事だった安心感。
彼はイベント後のワクワク感…。
良かったよ。彼がボーカルで。 〜完〜
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