そして、この流れならやっぱりドボンちゃんとの出会い。ドボンとはまだ日も浅くあまり上手く説明できないかもしれないが、書いてみようと思う。センキュベイベ
第五章 決意の
第一章 ブッキングの鬼
俺達とドボンが出会ったのは何年前かな?随分前、おそらく10年以上前で、その頃俺達がお世話になってたLIVEハウスで働いていたドボン。
彼は主にブッキングの仕事とかをしてたみたいで、色んなバンドを従えては、無理矢理ハコを埋めていくという。なんつーか、その…業者?埋め立て業者。
俺達はLIVEが終わると、いつも彼の所に行きノルマを払っては、次のLIVE日程を押し売りされるという仕掛け。
でも、何度目くらいからだろう。
俺達は少しづつ話をするようになり、挙句は対バンがLIVE中に皆が出払った楽屋で、俺達とドボンだけになり、よく一緒に世の中の悪口を言う。そんな関係になっていた。
第二章 昆虫の鬼
もう随分と話をするようになり、彼のことも少しづつ知ってきた。
昔、ドラマーだったこと。
格闘技が好きなこと。
昆虫が好きなこと。
そして、俺達のことも好きなこと。
ある日、LIVE終わりに彼の元に俺達はチケットノルマを払いに行った時の話。
彼はデスクの下からゴソゴソと何か小さな透明のカップを取り出した。
ドボン「オオクワガタの卵!」
俺達「へぇ〜!すげー!」
ドボン「一個づつあげるよ」
俺達は唐突なドボンからの小さな命のプレゼントに驚きもしたが、喜びもした。
大切にするとドボンに誓い、それぞれ1つずつ透明のカップに入ったオオクワガタの卵を家に持ち帰ったが。
俺は車から出すのを忘れてて、2ヶ月後にカビで真っ青になったカップが車内の椅子の下から出てきたことは、俺の為にも、ドボンの為にも現在も黙秘を続けている。
第三章 乱獲の鬼
ドボンが昆虫好きとしり、ちゃっかり者の俺と一平くんは、そんな彼を存分に利用する。
カブトムシの季節になると、ドボンに連絡してドボンに秘密の場所を教えてもらう。そしてカブトムシを乱獲するといった具合。
そしてある晩、俺はカブトムシを捕まえに行きたくなり、ドボンを誘う。気分のいい返事でドボンは、すぐにこちらに向かってくれた。
「でも、待てよ。
ドボンと2匹だけってのもな。
よし、グレイスも呼ぼう。」
俺はグレイスに電話して、カブトムシを捕りに行こうと誘うが、やむなく撃沈。
結局、ドボンと2匹で捕りに行くハメに。
……まぁ、誘ったの俺なんだが…テヘ☆
そしてドボンと合流した俺は車を走らせ、ドボンの命令する通り幾つかのポイントを巡る。
その時にドボンから
「今のドラマーが居なくなれば、俺に叩かせろ」的なことを言われる。
これは、なんか分かんないけど嬉しかったかな。ドボン程、日常的にバンドを見てる人型が俺達の事を少し認めてくれてる様な気がして。
ただの昆虫バカでもないんだ。と俺は少しドボンに親しみを覚えたのと、カブトムシが捕れるポイントもしっかりと覚えた。
そして、その日は本当にやってくる。。。
第四章 加入の鬼
なんと、それまで長く居た俺達のバンドのドラマーが転勤。俺と一平くんと、グレイスはまた3匹に逆戻りした。
俺は、いつかの山奥で遭遇した鬼の言葉を思い出す。(…遭遇というか俺が誘ったんだが…テヘ☆(2回目))
その事を一平くんとグレイスに相談して、鬼を我がバンドに迎え入れる。
練習日も決まり、バンド名を告げる。
そう、伝説のバンド「シネバカーズ」誕生の瞬間だったが、名前が気に入らないと加入してさっそく駄々をこねるドボン。
俺は電話して直談判、どうにかバンド名の承諾をもらい、晴れて俺達は新しいバンドとして活動を始めた。
しかし、なかなか進まない。。
でも、こういうものでもある。最初の出だしが重たくって走り始めると加速していくか、最初はピューッ!と勢いよく加速するが失速していくパターンのどちらか。
でも、俺達はどちらでもなかった。
重たいどころか、ピクリとも動かない。
どうしたものか。。
走り出す方向が定まらないのだ。
俺と一平くんは走りながら考えるタイプ。
グレイスは、どんな道でも景色を楽しむタイプ。
なんと、ドボンは一番地図を見て目的地を定め、燃料費を計算、到達時刻を計算。
もしかして、一番大人かも知れない…。
そんな噛み合わない4匹が互いに同じ力で放射状に引っ張り合う。そんな状態だった。