「そろそろいきます!!」


LIVEハウスの店員。ヤマダイからのGOサインだ。
いよいよ俺達ゴロゴロゴロンズは皆の待つ会場へと足を向ける。
ドキドキした。ワクワクした。

ステージの正面のメンバーの出入口まで、俺達はギュウギュウのエレベーターに乗りやって来た。会場からは「夢をかなえてドラえもん」が聞こえる。

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そう。渋谷のLIVEでも流したSE
「夢をかなえてドラえもん」
いつもあまりSEを使わない俺達。
でも前回の渋谷は、ゴロゴロゴロンズで初めてLIVEした時と同じ思いだった。なんとしても成功したかったし。やっと初めて会えるオタマも居た。ここからが始まりだと思っていた。
だから初LIVEの時と同じSEで臨んだのだが。

渋谷のLIVE以降。
ドン(高橋)という人型から
「次からカッコいいSEにしな!」
とか、
「これいいよ!」
等と、次から次へとSEの候補を送られてくる。。。

それだけ、もっといいLIVEにしようとしてくれてると思うと有難い話なんだけどね。センキュベイベ

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そして、会場の入口でイヤモニ、ヘッドセットの最終チェック。

そして、皆の居るホールへの扉が開かれた。
そこには知ってるんだけど、知らない人型が沢山。

会いたかった。ほんとにずっと会いたかった。

知らない人型からは
「一平くーん!」

「グレイス〜♡」

「ニッキー!   ドボーン!」

皆が俺達の名前を呼んでくれる。
初めてだった。
バンドをし始めて、誰かが待ってくれてる。
その感覚は初めてだった。恥ずかしかった。
どうしていいか分からなかった。
とにかく、嬉しかった。
自分が皆の方に視線をやると、そこには知らない人型が、こちらを見てて、手を振ってくれてる。
俺から手を振ると、それに気がついた人型が手を振ってくれる。

こういうレスポンスがあることが初めてだった。



そして俺達は定位置についた。

━━━━ん?音が聞こえない……。

イヤモニから音が聞こえない気がする……。俺は必死でそれをヤマダイに伝えようとする。しかし俺が喋っても、俺のイヤモニに 俺の声が入ってこないので、マイクが入っているのかどうかさえ分からない。

俺は必死に
「俺の声聞こえる?俺の声聞こえる?」

と、何度もヤマダイに問いかけるが。
目の前のオタマ達が

「うん!聞こえるーーっ!!」

「あー!君らじゃない!

        今はレスポンス要らね!」


心の中で叫ぶ。
そしてヤマダイに、もう一度きく
「俺の声聞こえてるー?」

するとオタマ達
「聞こえてるーー!!」

「だから、

        おめぇーらじゃねーよ!」


さっきまで、あんなに有難がってた俺なのに、手の平を返した様に、さっそく邪魔者扱い。
しかしSEが流れはじめてから、かなりの時間もたっていた。
皆も今か今かと待ってくれてる。

━━━行くしかない。

ドボンのカウントが鳴り。演奏が始まる。
イヤモニからは音が返ってこない。
でも、そんなことはハッキリ言って、もうどうでもよかった。俺達とオタマが、やっと同じ空間に居る。ほんとに、ほんとにそれ以外はもう何も必要ないと思った。

一平くんの声に驚く者。

グレイスのデカさに驚く者。

ドボンの半裸に驚く者。

音が出てない事に驚いてる俺。

色んな思いを乗せてLIVEは進んでいく。

バンドとしてのコミュニケーションの取り方も知らない俺達は、気の利いた事も言えず、ただ思い切り演奏して

足を運んでくれた人型に
「楽しかった!」

ただ、その一言だけを言ってもらいたかった。

そして、LIVEは終了。
点数をつけるなら俺達は45点。
でも、残り55点はオタマが補ってくれる形になった。

そして、初めてのファンサービス。
俺達はクリスマス会の帰りの子供みたいに、両手に沢山の紙袋を下げて、楽屋に戻る。

1つ1つプレゼントや手紙に目を通した。
ほんとに沢山貰った。地元のお菓子や洋服、飲み物、玩具、ありがとうと書かれた手紙。応援してるという手紙。これからもヨロシクと綴られた手紙。

ロックバンドで、パンク精神で、こんなに人間に感謝するなんて思わなかった。

そして、俺達は初LIVEの反省をポツリポツリと述べて、改善出来ることを話し合った。

バンドとして、まだまだの出来上がりだったと思う。まだまだやれた筈だと……。
だから改善して、またLIVEしよう。
んで、また反省して改善して何回でも繰り返しLIVEしよう。

何度も何度もLIVEをすれば、

何度も何度も皆に会えると思った。


だから、
        俺は「ゴロゴロゴロンズ」を
                                  まだまだやりたい。

人間サンキュー。

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