一平くん、ドボンとの間に起きたLIVE四日前とは到底思えない惨事。
俺とグレイスは、この状況をチュパチュパと指を咥えて見るのみであったが、後日両国は話し合いにより和睦。

一件落着……

と言いたい箇所ではあるが。
実の所、全く一件落着ではない。
俺達の本当の目的はLIVEであり、戦争を繰り広げている場合ではなかったのだ。


そしてLIVE当日はやってくる。

俺達4匹はいつも通り集まり。
初めてのイヤモニや、ヘッドセットのリハーサルを行う。

━━━━違う。全く違う。。
これがイヤモニってやつか……。

いつもの様に音が聞こえてこない。
それともこんなものなのか?
初めての経験に俺達は戸惑いながら、それでも淡々とリハーサルは進められる。

俺と一平くん、グレイスは同回線。
つまるところ、3匹は同じ音を聴いている。
しかし、ドボンは別回線。

どういうことかというと。
俺がギターの音を聴きたくて
「さーせん。ギター上げてください」
と音響の方に告げると。
いやおうなしに一平くんとグレイスが聴いている音もギターの音量が上がる。

そうすると、次はグレイスが
「あら、ベースが聞こえないわ♡
       ご主人、ベース上げてちょーだい♡」
と、告げると、また他の2匹のも!

となると、一平くんも
「オイラの声、聞こえないから上げて」
と、勿論こうなる!

なんだこれは……

まるで音の競りじゃねーか!


そんな中、後ろでドボンは
「ギター下げて!
     あ、ベースは上げようか。
           ボーカルは薄くちょうだい。」

おい!音の貴族っ!!

俺達3匹が遠慮したり、思い切ったりしながら音量のバランスを取っている中、ドボン伯爵ときたら、別回線を理由にワガママ放題オーダーしている。

それはまるで
俺達が一杯のかけそばを
「あ!かまぼこズルい!」
「いや、そっちにはワカメ少しあるだろ!」
「おい、スープどうやって分ける?」
などと、みみっちい会話をしてる隣で

ドボン伯爵
「すいません。ざるそばと天麩羅の単品ね」

蕎麦屋の女
「お客様、それならば天ざるございますが?」

ドボン伯爵
「バカヤロー!天麩羅は単品じゃないと
     ししとうが2個付いてないだろ!」

蕎麦屋の女
「大変失礼いたしました。」

この時の奴は、俺達腹ぺこ3匹の隣で、こんな傍若無人っぷりを発揮する、金持ちのジジイそのものであった。


一平くん、グレイス、俺の3匹は思いやりと遠慮で、どうにか空腹をしのぎ、無事にリハーサルを終え休憩に。
ドボン伯爵は仕事の都合で1匹、屋敷に居残りという形になった。


サァ…イヨイヨ本番ダゼ。
LIVEまで残り…5時間弱。。